20分ライティング #35
コウヤの機嫌が朝から悪い。
布団の中でがうがうと言いながらばたばたしている。

「おとなしく寝とれ、お前は」
「ううううううがあああああああ!」

世の中はクリスマス一色で華やかなのだろうが、昨日からの熱が下がらずに安静を強制されたコウヤには何とも世知辛い心地なのだろう。
しかし、暴れていては体力を消耗する一方である。

「鶏とケーキ買うてきたるから、じっと寝とれ」
「うぎゅうううううううううう……」
「ケーキ何がええ? 二人やし、ホールじゃなくてもええやろ」
「……苺乗ったやつ」
「苺やな、クリーム何でもええか?」
「あと、プリン……」
「プリンな」
「モリナガの焼きプリンな!」
「はいはい」

よっこらしょと立ち上がり、枕元から移動しようとすると、何かがズボンの裾を掴んだ。
コウヤの手である。
熱が出ていても、指先は冷え切っている。

「今日ごめんな……」
「しゃーないやん」
「ぐすん……」
「元気になったらデート行こ。な」
「……うん」

脚から手が離れて、大人しくなる。
帰ってくる頃には少しでも元気が戻っていますように。
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